2026/02/12
気密測定が教えてくれる「施工品質」とは

近年、高性能住宅の指標として「C値(相当隙間面積)」が広く知られるようになりました。
しかし、同じ建物でも“測定するタイミング”によってC値が変わることは、十分に理解されているとは言えません。
本コラムでは、
・なぜ測定するタイミングでC値が変わるのか
・その数値をどう解釈すべきか
・どの工程での測定が何を証明しているのか
を整理します。
1|気密測定とは「施工状態の写し鏡」
C値は“建物の性格”ではなく“施工状態”を表す
気密測定は、その時点での施工精度と管理状態を物理的に確認する試験です。
C値はしばしば「家の気密性能」と表現されますが、正確には測定時点で、どれだけ隙間が塞がっているかを示した数値です。
C値は以下の要素を反映します。
・設計段階での気密計画
・採用材料の性能
・部材納まりの合理性
・現場での施工精度
・工程の完了度
つまりC値は、その瞬間の施工状態を映し出す指標です。
2|気密測定は“現場の仕事”を測っている
理論値ではなく施工結果を測る試験
気密測定では建物に50Paの圧力差をかけ、実際の漏気量を測定します。
これは計算値ではなく、実際の施工結果そのものです。
測られているのは、
・気密シートの重ね幅は適切か
・テープは確実に圧着されているか
・配線・配管まわりの処理は丁寧か
・サッシや構造材の取り合いに隙間はないか
といった、現場での一つひとつの仕事です。
数字は、現場の精度を正直に表します。
3|C値は測定タイミングで変わる
わずかな隙間差が数値を大きく動かす
C値は固定された性能値ではありません。
延床100㎡の住宅の場合、
実効隙間面積20㎠ → C値0.2
実効隙間面積40㎠ → C値0.4
名刺2枚分程度の差で数値は倍になります。
つまりC値は非常に繊細な指標です。
測定タイミングが異なれば、示している施工状態も異なります。

4|断熱施工直後の測定が証明するもの
気密構造そのものの施工精度を測る
断熱施工完了時点では、
・気密層が完成している
・主要な貫通部処理が完了している
・仕上げ前で補修可能な状態
この段階での測定は、気密構造の施工精度そのものを証明します。
仕上げ材による偶然の目止め効果ではなく、設計と施工管理の成果が直接数値に現れます。

5|施工会社の断熱施工に対する知識と実績
数値は偶然ではなく、管理の結果
安定したC値を出すためには、
・気密ラインを設計段階で明確に定義する
・納まりを事前に検討し標準化する
・施工手順を共有し、工程内で確認する
・測定結果を次回施工にフィードバックする
といった組織的管理が不可欠です。
長年の断熱施工実績がある会社は、
・納まりの弱点を把握している
・不具合が出やすい箇所を事前に補強する
・測定を“イベント”ではなく“改善工程”として扱う
という姿勢を持っています。
数値は経験値の積み重ねから生まれます。

6|職人の熟練の技がつくる精度
断熱施工は“手仕事”の領域
断熱・気密施工は単純作業ではありません。
・テープの圧着圧
・下地の清掃状態
・シートの張り具合
・貫通部周囲の処理方法
これらは経験によって精度が変わります。
長年の現場経験を持つ職人は、
・空気が漏れやすい部位を体感的に理解している
・材料の特性を把握している
・季節や湿度による施工条件の違いを考慮する
施工品質は、設計×管理×熟練技術の総和です。
7|なぜ「いつ測ったC値か」を確認すべきなのか
C値の単純比較が不毛になる理由
「C値0.3の家」と「C値0.5の家」
この比較が意味を持つとは限りません。
なぜなら、
・測定時期が違う
・測定回数や再調整の有無が違う
といった条件差で数値は容易に動くからです。
本来比較すべきなのは、
「同一工程・同一条件で測定されたC値」です。

まとめ|数字の背景を見る
C値は家の完成度を映す鏡です。
そしてその数字は、測定した瞬間の施工品質を示しています。
気密測定が教えてくれるのは、
・隙間の量
・施工管理の精度
・職人の熟練度
・組織としての品質管理体制
です。
数字だけを見るのではなく、
・数値が導かれた背景
・測定された工程や条件
・品質管理プロセス
そこまで踏み込めば、
家づくりへの視点はより明確になります。
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長野県 北信 東信地域・長野市・上田市・東御市・小諸市・佐久市・軽井沢町・山梨県北杜市で設計士とつくる注文住宅 新築一戸建て デザイン住宅 は住宅会社・工務店のトモノ建築設計事務所にご相談ください。














